日々の争い

日々は、争いである。 争いは生活の必然である。なぜなら、時間の持続とは長すぎるからである。 どれほどの時間の持続であっても、それは長すぎる。長すぎるので、そこでは争いが生まれる。 この説が本当かどうか、あるいは争わない方法があるのかどうか、そ…

9/30のパンセ

日記である。 このように正しく語ることを許された世界の断片からの、世界像の投影。 ************************ 選ばれてあること 選ばれてある者はただ下落すればよい それが特別な者の道である。 私は私自身を選ばれてあると信じ…

花と花と花のくに【短編戯曲】

◎人物 女 男 ◎舞台 細長い通路のような舞台、両サイドに客席。 《女が片方の端に立って花を売っている。男は反対の端で椅子に座っている。》 女 お花、いりませんか?……あの、お花、買ってくださいませんか?……買ってくださいませんか? 《男、立ち上がる。…

【復刻】新時代に思うこと

新時代については、私は希望を抱いている。 ********************** 今日は日本が戦後二番目に低い投票率を記録した参院選からちょうど一週間が経過したところである。とりあえず依然として自民党が強いということらしい。だが自民党…

【復刻】弱者のフリという悪徳

書かねばならない!私はそう思ったのだった。 弱いフリをする人というのはどこにも一定数いる。 いつも俯いていて、話しかけられたらビクッとする人とか。 今日は、最近の世の中を賑わせ続けているこの話題について。 なに?賑わせていない?いやいや、めっ…

【復刻】思想家として生きる、という

思想家として生きよう、というのはとんでもない空疎な生き方だ。 人生というのはいつか終わり何もなくなるので負けが確定しているゲームのようだが、よく考えてみると何もなかったところから始まってもいるので勝ちでしかないゲームのようにも見える。しかし…

【復刻】感性、超越者

感性的なもののうちには常に感情が含まれているのか。感性的なもの、感性とは低次の認識能力である。低次と言ってもそれは捉え方によるのであって、これと比べて高次の認識能とされる概念を用いた思考などでは、芸術なんかは捉えられないと言われる。芸術の…

【復刻】『なぜこの世界には私しか存在しない(かもしれない)のか』対話のためのノート

この世界に私だけしか存在していない、などということはない。 **************** 世界に私だけが存在する、というこの事実を「独我論」と呼ぶことはできない。 ただ一度きりのたまたまの事実に過ぎないものを、「論」と名付けて一般的なもの…

【復刻】田舎の生活

それなりに久しぶりなので、このブログの日記的な側面をまず先に充足しておくこととする。日記的な側面? そんな側面あっただろうか。ともかく最近について。 閉塞感、が、ある。日々、頭を使わない。それは、まあ、よい。視野が、狭まってゆく。それも、ま…

【復刻】誠実主義まとめ

A. 最も簡単な定式化 “物事を正しく認識することが善さである” これだけだと、あぁまぁそうだね、合ってんじゃない?で終わってしまいかねない。正しい認識は間違った認識よりはいいだろう。正しいからな。 だがしかし、正しい認識は「いい」だけでなく「善…

【復刻】仕事は私をして働かしめる

仕事がはかどらないとする。それは私のせいではない。仕事のせいだ、敢えて言えば。だって、「仕事が」はかどらない、と言うじゃないか。はかどらないのは仕事である。もし私が原因ではかどらないのだとすれば、「私が仕事をはかどらない」とかそういう言い…

【復刻】疑問だらけの素晴らしきこの世界

薄々感づかれているかもしれないが、私の頭はもう長らく人文学的・思想的・宗教的な放射線を強く浴び続けてきたため、もはや不可逆であるほどの変質を被っている。 いやいや、そんなに長いこと従事してきたわけではないだろう、たかが数年だ(まだ十年にも満…

【復刻】恋愛論1 恋愛感情論序論

愛的・好き的感情というものは気まぐれであって、しかしこれが特別気まぐれであるように見えるのは、むしろ私たちの願望のせいである。 この感情が本物であってほしい、不変のものであってほしいという願望が、かえって好き的感情を不必要なプレッシャーのも…

【復刻】倫理1 倫理学の内容

私たちは常に正しい。常に必然的な仕方で在る。が、それにも関わらず、私たちは正しく在らなければならない。常に正しく在るのに、正しく在らなければならない。 どういうことやねん。 しかし、これが単純に「どういうことやねん」となる訳ではない人という…

【復刻】倫理2 なるようにしかならない

なるようになり、またなるようにしかならない 人事を尽くして天命を待つ、という。 私は、なぜ君は人事を尽くすのですか、と疑問に思う。 なるようになるということの本質は、なるように「なる」というところだ。なるように「する」ことでは全くない。 なに…

【復刻】倫理3 ナルシストを極めよ

自分のことを嫌いという人がいるが、そういう人に限って自分というものをがっちり掴んで離さないものだ。嫌いなら離れればよかろうに、と思うのだがそういうわけにもいかないらしい。 また逆に、自分のことを自慢げに話す人は、自分のことが好きなのだと自他…

【復刻】倫理4 謝りたくなる心の弱さについて

謝りたくなる心の弱さ 人として、どうしても謝りたくなる時がある。わかる。 また別に謝りたくないけど謝らないといけないときもある。 謝るというのは極めて倫理的な行為のように見える。私が、私の人格(人格が倫理の舞台である)について非を認めるから謝…

【復刻】倫理5 孤独について

孤独の時代 人は倫理的には孤独である、という主題について考えてみたい。 これは現代的なテーマであるような気がする。 今の日本に哲学があるかどうかといわれると、即座には回答できない。その質問の含み次第で回答が変わってくるだろう。だがすべての時代…

【復刻】倫理6 私をして善ならしめよ

いい人だとか悪い人だとかいう言い方について。 人について(人の人間性、その中心となる部分を以下「人格」と呼びます)、それがいいとか悪いとかあるのでしょうか。このように問うとすぐにある種の極端な事例を考え出す人がいるかもしれませんが、たとえば…

【復刻】倫理7

私がよいと思うものをよいとするのは決して悪いことではないように思われる。が、これは一見してそう思われるだけで、よいものはよいとしてそれで収まるとして、それでは悪いものは悪い、遠ざけよう、そのようにすることもまた問題ないのであるか。 私が悪い…

【復刻】猿電車に乗る

電車に乗るとき私はいつも判断力の鈍る感じがします。 あまりに秩序だったものを目にすると、思考するということが一定以上できなくなるようです。つい反乱でも起こしたくなりますね。こんな状況で反乱というものがあり得るとすれば、それは反乱の先に何かを…

【復刻】ニヒリズムのこと

当為の非存在(ニヒリズム)のこと。 道徳的・倫理的原則のことを当為と呼びます。当為、すなわち私たちが何を為すべきかということに関する真偽は、それがあるとすれば、何を基準にしているのでしょうか。一つの解答は、通常の理性が立ち入ることのできない…

【復刻】そういうのではない

こういうドヤ顔が好きでない。こういう仕方で無駄に自信満々になることが善いことか。この手の情報を求める人は結局はこのドヤ顔を追い求めているのかもしれない。 能力。なんだろうか。よい人材を目指すとは「よく使われる」ことを目指すことだ。人材であれ…

【復刻】Apologize you cannot

Apology is something ethical. It has no certain meaning but it surely expresses something. Some nay say it expresses emotions, emotion of the guilt. But apology is almost meaningless when it is merely expressed, and we clearly know that we…

【復刻】文化論1 良い悪いと価値観間の相対性

ある文化は良く、ある文化は悪いなどということはない、 ということはない。 ある価値観が優れており、あるものは劣っているなどということはない、 ということはない。 確かにある価値の規定の中でのみ良いや悪いが問題になりうると言えるかもしれない。あ…

【復刻】文化論2 creativityやoriginalityに関して

知識というのは一般的である。一般的というのは、「誰にだってわかる」ということだ。 原理的には誰にだってわかるものだけが知識と呼ばれうるので、私にしか分からないような何かは「狂気」として分類される。 そもそも私というのが一般的なのである。私に…

【復刻】哲学4 ツチノコについて

どうにも彼には予告なく仕事を放棄する癖があるので、彼はまるでそれを放棄するその時のためだけに仕事をしているかのようであった。 仕事を投げ出すのはどんな時か、と言っても決まっていない。どんな理由によるのか、と聞くのはさらに野暮である。あらゆる…

【復刻】哲学3 いわゆる演技

別の記事を書いていたら脱線してしまったのだが、元の話題とあまりにかけ離れてしまったので独立して出すことにした。 社会的な振る舞いの多くは演技だ、という話である。「演技」とは何か。第一義にはおそらく役者が舞台上でなす振る舞いのことだろう。しか…

【復刻】哲学2 言葉はどうして時に人を傷つけるのか

けっこう前になる先日、「どうして言葉は時に人を傷つけるのか」というテーマの哲学カフェが行われた。 それに行ってきたので、そのテーマについて自分なりに言いたいことを書いてやろうって思っていたのだが、前回は哲学カフェそのものについてしゃべるだけ…

【復刻】哲学カフェに行く(行った)

けっこう前になる先日、「どうして言葉は時に人を傷つけるのか」というテーマの哲学カフェが行われた。 哲学カフェというイベントはご存じの方はご存じだろうが、哲学的トークの社交場のようなものである。別に哲学という専門的な領域についてよく知っている…